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安易に使える短い言葉

Thinking

が嫌い、という話です。どっちかっていうと、そういう言葉だけで話を展開する人が苦手という具合でしょうか。四字熟語しか使わない人とか。そんな話です。

 

『インプットとアウトプットが大事だ』とか『それはキミ、急がば回れだよ』とか、本当のところたくさんの意味がつまっていながらにして、短くまとまる言葉というものは便利です。『私』『あなた』のように一義的な言葉と比べて、慣用句というのはずいぶん多くの含蓄を含んでいます。それ自体は使うに便利、見ても見やすいので、とてもよろしいと思っています。ってことはやっぱり嫌いじゃないですね。でも嫌いなんです。

 

新しい言葉を覚えるというのは、同じ言葉、たとえば『急がば回れ』でも、その人によって覚える時期、覚える方法、その覚え方で初めに触れた使う方法、覚える直前の感情や、覚えてみて感じたことなどの、背景が違います。ですから、その言葉は、人によって大なり小なり使いたくなるパターンや意味が変わってきます。言葉には辞書的な意味として一応の定義を与えられていますが、それ以上の意味を、その人の歴史が持たせることになるということです。

とくに、会話は反射的に言葉を発しますので、その言葉にまつわる彼らなりのエピソードや感情にごく近い場面に出くわした時に、口から飛び出してきます。

だから、ただ『それは急がば回れだよ』だけで言葉を完結されてしまうと、自分の想定している『急がば回れ』で解釈してしまっていいのか気になって、動作がピタリと停止してしまいます。先ほどの通り、『彼らなりの感情に出くわしたら反射的に』飛び出てくるもんだと思っているので、一時停止して、『どういう文脈で出てきたのか』から『その言葉についての彼らなりの意味』を推測し、『どういう答え方を要求されているのか』を彼らについて私がもつ記憶から推測し…といわゆるフレーム問題*1みたいな状況に陥ります。変なところで理屈っぽくなってしまうので、とくに熟語や慣用句では敏感なので、テストでは有効な考え方なのですが、日常生活ではちと不便です。まあ自分にも、理屈っぽすぎるという部分があり、人間いつでも論理的に話せるというわけでもないのもわかっていますが、せめて何か一文があれば…と思って生活しています。

そういうわけで電話とか会話とかは、一度パターンを見つけるまではからっきしなので、ほぼほぼ人工知能で代替できるような人間がわたしなのですが、しかし周りの電話からっきしマンを見てみるに、同じような論理的な問題に陥ってたりしてる人がいました。全員というわけではありませんが、みんな似たような感じなんですね。

 

慣用句だけで話されると、先のように考えることが増えるのもそうですが、その人に対してモノ考えて話してるんかコイツとかまで思ってしまいます。慣用句に限らず、名詞や動詞にいたるまで、同じ意味の違う言葉がたくさんあるのが日本語です。内容がペラくても、ツラ構えだけは重厚に武装できるという意味でもあります。虎の威を借る狐、笠に着る、後ろ盾にする*2。重厚な武装は、本当はただのハリボテだったとて、知らない人からしたら重厚なわけですから、すくみます。そんなわけで、知識の誇示や相手を下に取るために使われることがままあります。だから一瞬、ただの虚栄心で放った言葉なのかどうかというところまでじっくり考えてしまって、まーた行動がピタっととまってしまいます。難儀な頭脳です。やっぱり慣用句の後にもう一文ほしい。

 

まそんなわけこんなで、わたしには、話を聞いて一発ではわからないことがあります。想像力がないわけでなく、必要以上に使いすぎて逆にわからなくなってしまうのです。なので私は、同じ一点を目指す直線があれば、たとえ直線ごとの角度が別々でも、交点が目指すべき一点だとわかるというのを応用して、同じ話もふたつくらい話して相手に言いたいことを伝えるクセをつけています。というか今の文がそのまま例文です。

同じ言葉であるならば、ある程度の幅で意味が変わるだけで、大きく間違えることはめったにありませんし、ふたつ以上同じ説明のために要素を持ち出せば、たとえ間違っていたとしても予測がつくと思ったので。そのかわり冗長すぎるのですけれど、読む時間がかかるだけで、そんなに考えなくて済む文になってくれているはずです。この二直線の交点の考え方は、定義を示してから、そのあとで例示するという形にしやすいので、相手を正しく誘導するという点ではかなり有効なんじゃないかと。

 

いきなり例示や具象的な話だけして、定義的、抽象的な話がさっぱり出てこないのも『定義じゃわからないでちゅよね~とりあえずサワリだけわかってくだちゃいね~』って言われている気がして、そのたびにプッチンしているので、そういう意味でも二回説明するというのはよろしい。わたしくらい偏屈な人間も、Delphiくらいなものでしょうが*3、わたしと同じレベルの人ならば満足できる文章がかけるというのはやはり精神衛生上たいへんよろしい。

 

ま、人の言葉の使い方なんて人それぞれですし、どうしろってわけでもないんですけれど、そうやってもやもやして、そのもやもやから面白そうなものを掘り出したので書き残しておきます。

*1:人工知能の未解決問題。個人的には考えられるリスクすべてを回避しようとして物事が進まないという意味で使っている。

*2:三つとも全部同じ意味ですけど、一個で十分なのに、日本語は複雑ですね。もうこれわかんねぇな

*3:Delphiは文法に厳しいプログラミング言語。というかそもそも人間じゃねえ

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