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やりたくないことをやるために

 

『やりたくないことをやるためにはやればよい』というような話です。これだけだと脳筋なので、この周辺のことの考えを深めてみましょう。

 

 

 最近どうも、覚悟が決まりません。あれをしよう、という計画だけはできたものの、心構えをしていざ集中しようと思ったつもりが、忍び寄っていたおふとん欲に打ち勝てずにそのまま寝ています。そんな毎日。暖房器具といっても、手を温める小さなハロゲンヒーターと、初期型のXbox360があるのですが、片方では小さすぎ、もう片方ではうるさすぎ、はんてんに頼って暮らしています。ついでに財布も素寒貧ときたもんで、買うのには少し遅いながら着る毛布を買おうという希望も潰え、ここまでか、ばふーん(ふとんに入る音)。やりたいことだったら、毛布をかぶりながらでもやるんでしょうが、いかんせんやりたいとも思っていないことなので、熱意はそよかぜくらいで吹き飛んで、結局やるべきことはおざなりという具合なわけです。

 

やりたくないことをやるためにはどうすればいいでしょうか?

まず、やる環境の前にいることです。そこから始めなければなりません。食事は、食べ物が手か口、またそれらに準ずるものに届くところになければ、始められませんから。それから、満足がいくまで食べ物が近くにある環境に居続けなければなりません。食事のための条件を満たした次は、食べることです。たとえカトラリーがなくたって、よっぽど皮の固いヤシとかでもなければ、犬食いだと言われようとも食べることができます。食べるということをしなければ、たとえ食べ物の目の前にいても、食事は一向に終わりません。このふたつは、食事をするにあたっての最低限の条件です。

ただ、食事なら大概平穏に、少なくとも上に書いたようなことを気にするほど悲壮感にまみれながらということもなく済ませられるでしょうが、やりたくないではそうはいきません。寒い冬の朝に起きるのは至難の業です。ここで、カトラリー、冬の朝で言えばエアコンで部屋を温めておくとか、寝る前にはんてんを毛布にはさんでおいて温めておくとかの下準備が利いてきます。そういう、温度調節にあたるのを、楽しいとかツァイガルニク効果とかはじめる前の儀式とかの心理的に後押ししてくれること、諦めたり布団に入りたいとかを考えるのをやめたりとかの後ろ髪を引くものを断ち切ること、なのだと考えています。あくまで、ハードルを下げるだけなので、これらをしたからといって、やれる保証はないですし、そもそも事はなーんにも進んでいませんが、いざ始めるとなれば随分ことを進めやすくなるでしょうし、実際始めるときの覚悟も少なくて済みます。

それから単純に、食事や起きるということを、覚えておく必要があります。今日は平日だから出かけなきゃとか、腹が減ったとか、そういうことを覚えていないと、そもそも食事をしよう起きようという発想に辿り着けません。明日は水曜日だとかを指さし確認しながら寝るなり、お昼の時間になったらフライパンをカンカン鳴らす音のアラームを付けるなりする必要があるかもしれません。

 

こういう難しいことをするときには、先ほど書いたような、始める前の儀式をやるとか、前日の作業をいいとこまでいったところでやめたとか、後ろ髪を引くことがあるのなら後ろ髪を刈りあげてしまうとか、下準備や心構え、言うところ覚悟を決めるといいでしょう。『これから難しいことをするんだ』『これから引くクジはどうせポケットティッシュしか当たらないんだ』とかの心づもりをしておくというのも、自己暗示と言うか、非常にボヤっとしていますが、あきらめがつくのでそれなりに意味があります。少なくとも、期待に敗れて打ちひしがれるのを減らせるだけ、体力を温存できます。

どうしてもゲームに後ろ髪が引かれるなら、『30分ゲームやったらすぐ宿題やるんだよ!』といった在りし日のオカン像を思い浮かべながら、ご丁寧にも五分前に『そろそろ30分じゃないのかい!』とか言わせながら、ついでに自分も時計をちらちら見ながら、やめる覚悟をじわじわ作りつつ、30分を精一杯謳歌して後ろ髪が二三本ひかれるくらいまで力を弱めさせるのもよいです。

ご褒美を終わった後に用意しておく、というのもよいといえばよいのですが、ご褒美のために仕事が適当になってしまったり、ご褒美を用意するだけの資金源が尽きてしまったらやる気がなくなってしまったりするので、ちょっと工夫が必要です。

 

というか、やりたいことでさえ、少ないながらも多少は他のことを我慢しようという覚悟をしているのです。ハードルがあまりにも低すぎるから気づかないだけで、両腕を骨折して今日の運勢は大凶で熱も出てきて目もしょぼしょぼしてきて頭も痛い極限状態ならば、ちゃんとやりたいことにも覚悟が必要になることもあるのかとわかるでしょう。先の通りに、それをやるのが楽しいとか、自然に他のことをそっちのけにできる理由があるからハードルが下がっているように見えているだけで、その前でだけとんでもなくジャンプ力があがっているだけなのだと考えられないでしょうか。

逆に、やりたくないことはハードルが高く見えすぎて、必要以上にすくんでしまっているのかもしれませんよ?低くできなかったとして、すくんだままでは飛べるものまで飛べなくなってしまうので、すくむのを諦めるくらいがいいかもしれません。どうしようもないときってありますけど、そういうときこそ、いかに面白くしてやろうかと考えてやるのが重要です。

 

やりたくないことでも、つまんねーつまんねー言いながらやるんだとそれこそつまらんので、いかに早く・正確に済ませるか選手権を開催などしてみると(自分が)盛り上がります。やりたくないといえど、手早く済ませるとか何度もやらずに済む方法を知ってさえいれば、あまりやらないで済むので、実はやったほうが身になるのです。なんだか狐につままれたような気もしますが、そういうことなのです。

たとえば、窓ふきをした後乾拭きに新聞紙を使ってやると、今の時代の新聞紙でもそうなのかは知りませんが、拭いた跡が残らずにぴかぴかになる*1ので、窓をふく回数が減ります。別に窓を拭くのが好きならば、新聞紙なんか使わないで毎日拭く大義名分を作ればいいのでしょうけれど、窓を拭きたくないのに自分から拭く回数を増やさなくたっていいでしょう。なんであればそういう工夫をまとめた研究ノートをつけてみたり、掃除術の本なんかを読んでみるともっといいかもしれません。狐にほっぺたをぐにんぐにんされすぎて腫れあがるくらいの気持ちがしますが、気のせいですね。こういう気持ちを気のせいだとすること自体、後ろ髪を刈り上げておくことの一環です。

それから、できたらいいなあくらいで期限もないけど、やたら作業量だけあるようなのをやるときは、一度に多くの時間をかけないようにするといいかもしれません。飽きたら意味がないので。力業じゃあどうにもならないときは、腰を据えて一日少しだけ、ゆっくりやるようにすればいいのです。少し進んだだけ、十分じゃあないですか。少ししか進まなかった、本当はやる気を出せばもっといけただろうに、とか消極的になっては無理して飽きるか滅入って飽きるかなので、それだけで満足したほうが精神衛生上よいです。

 

それから、覚悟ややることの認識にも程度と言うものがあります。昨日始めた将棋をいつかではなく今日世界一になるぞというのは、急ぎすぎです。エンジン高らかにカリフォルニアを出ても、スタンドによるのは時間の無駄とかやっても、ニューヨークに行くどころかまず行くのはレッカー車でカリフォルニアに運ばれた愛車の回収です。プライベートジェットのような、可能性が十分にあるものでなら確かに可能でしょうが。

かといって、じゃあ今日は将棋アプリを手に入れるために、アプリストアで『し』と打って明日は『ょ』を打って…とかやるのも問題です。達成できる目標でしょうが、それでは強くなるどころか試合を始めるのがいつになるかわかったもんじゃありません。

無理なくこなせるけれども、それなりに緊張感を感じるくらい、ほんのちょびっと成長するくらいがわたしには無難に思われますが、まあ人それぞれ好みの難易度設定をしていただくこととして…。

 

 

やるべきことをやるために、とにかくやってみることと、やりやすくするための環境の整え方はあらかたわかったところで、『やりたくないけどやるべきこと』の利点についても少し触れます。

後ろ髪を5mmのバリカンで刈り上げたところで、ひとつのことばっかりやっていればさすがに飽きるというもので、体力なんかも徐々に失われ、自然に難易度があがります。それをやりたかろうと、やりたくなかろうと、こういうことは等しく起こってくるというのが厄介なところです。体力がなくなった場合は一度体を、飽きてきたのなら一度別のことを始める頃合いかもしれません。かもしれない、というのは、あんまりにも早くやめすぎてしまっても終わりが見えないためです。こういう最終兵器というものは、デュエル!俺のターン!手札の封印されしエグゾディアの効果!ゲームセット!でイカサマ王を極めるためにやるのではなく、どうしよう負けそう世界が壊れる大変だぁドローエグゾディア勝ったー!だから最終兵器なのです。逸れましたが、甘いものが好きでも、苦いお茶を飲むことで、口の中がさっぱりしてまた甘いものを美味しく食べられるように、やりたいことばっかりだとだんだん面白みがなくなってくるので、やりたくないこともたまにはやってやるべきなのです。もう狐につままれすぎて顔がパンパンでトマトみたいなんて、気のせいでしかありませんね。

 

さて、手がすっかり手がかじかんでしまいました。タイピングを固まった指でギーコギーコやるのも時間がもったいないので、それから冬のパソコンはしもやけも怖いですから、このへんでやめておきます。何か思いついたら、温まった指でまた書くことにします。

そんな感じです。

*1:新聞紙を濡らすと酷い目に合うが